「相互作用を通じた共有現実の創発を支える行動・認知神経基盤」(黒田起吏氏、東京大学・日本学術振興会)
【日時】2023年2月9日(木) 16:00~17:30
【場所】関西学院大学社会学部 社202
【発表者】黒田起吏氏(東京大学・日本学術振興会)
【概要】インターネットによって相互作用の機会が増えた結果、何が普通であるかに関する知覚や認知、ひいては規範が新たに形成されている。このように社会的に共有された現実(shared reality)は動的な相互作用から生まれるものの、多くの先行研究は、既存の規範に対して人々がどのように反応するかという受動的な場面を検討するにとどまっている。そこで本研究では行動実験・fMRI実験・オンライン実験を行い、知覚に関するshared realityが生まれる際の認知・神経メカニズムと相互作用過程を調べた。3つの実験にわたり、人々の知覚的反応が相互作用を通じて収束した。また、とくに社会的影響が双方向な場合、知覚的反応を生み出す心理物理関数が安定した。その安定度は視点取得に関する脳活動によって調整された。これらの結果は、双方向の社会的影響が相手への視点取得を促し、行動を生成する心理物理関数のレベルで人々が合意を取れるようになることを示唆している。
セミナーは対面で開催します。
誰でも参加可能ですが、もしご参加される場合は清水(simizu706あっとgmail.com)までご一報いただけると幸いです。